top of page

【なんで?】ブロック塀って塗ると膨れることがあるの?

11 分前
読了時間: 9分

住宅の塗り替えをしていると、

「外壁と一緒に、このブロック塀も塗っておいて」

という話になることがあります。

実際に、外壁に使用した塗料をそのままブロック塀にも施工している現場を見かけることもあります。

塗装した直後はきれいです。

ところが、しばらくすると塗膜がぷくっと膨れたり、部分的に剥がれたりしているブロック塀があります。

そして、このブロック塀の膨れ。

実は、

膨れてしまった後の改修の方が、最初に塗るときより難しくなることがあります。

今回は、

「なぜブロック塀は膨れるのか?」

だけではなく、

一度膨れてしまったブロック塀を、なぜ簡単には元に戻せないのか?

というところまで材料屋の視点から考えてみます。


結論:ブロック塀は「塗料だけ」を見てはいけない

ブロック塀の塗装で重要なのは、

水分をどう逃がすか

という考え方です。

日本ペイントは「透湿性」を、素地に含まれる湿気・水分を水蒸気として透過させる性質と説明しています。

透湿性があるほど素地と塗膜の間に湿気がこもりにくくなり、膨れなどが起こりにくくなることが期待できます。

ブロック塀の場合、表面に降る雨だけを考えればいいわけではありません。

天端。

目地。

地面側。

構造によっては背面。

さまざまなところから水分の影響を受けます。

その水分が内部から外へ出ようとしたとき、表面に水蒸気を逃がしにくい塗膜があると、塗膜の膨れや剥がれにつながることがあります。

つまり、

「雨を入れないこと」だけではなく、「入った水分をどう逃がすか」まで考える必要がある。

ここが一般的な外壁塗装とは少し違うところです。

透湿性を重視して仕様を組むメーカーもあれば、そもそも塗装自体を慎重に考えるメーカーもある。

この違いからも、

「外壁に塗れる塗料なら、ブロック塀にも何でも塗れる」

という単純な話ではないことが分かります。


だから専用塗料も存在する

ブロック塀や住宅基礎など、水分の影響を受けやすい場所を想定して設計された塗料もあります。

例えばインターナショナルペイントの「IPヨウヘキコート」は、水系1液自己硬化型シリカ系塗料で、

無機系を主体とした石垣状構造の通気型塗膜

を形成するという設計です。

メーカーも住宅基礎・コンクリートブロックへの使用を用途として挙げています。

一方、日本ペイントの「インディフレッシュセラ」のように、一般内外壁の改修にも使われながら透湿性を持たせている塗料もあります。

インディフレッシュセラは、背面からの水分の影響を緩和して膨れを抑制する透湿性に加え、低汚染性、防藻・防かび性、耐候性なども持たせたつや消し塗料です。

つまり、

ブロック塀だから必ず「ブロック塀専用塗料」でなければならない

というわけでもありません。

ここからが、実際の現場では重要になります。


外壁用塗料を使うこともある

私たちも、ブロック塀だから必ず専用塗料しか使わないというわけではありません。

ブロックの状態や構造、水分の影響、既存塗膜などを確認したうえで、

通常の外壁用塗料を使用することもあります。

その場合、外壁とまったく同じ仕様にするのではなく、

3分艶。

艶消し。

など、艶を調整して施工することもあります。

ただし、ここは誤解してほしくないところです。

艶を落とせば膨れなくなる、という意味ではありません。

塗膜の透湿性能は製品そのものの設計によって異なります。

「艶消しだから大丈夫」

「3分艶だから水分が抜ける」

と単純に判断するものではありません。

艶の選択は、使用する塗料の性能、仕上がり、下地の状態などを含めて考えるものです。

私たちが重要だと考えているのは、その前段階です。


まず徹底した下地処理

ブロック塀で膨れを抑えるために、

「どの塗料を使うか」

ばかりが注目されがちです。

しかし、その前にやることがあります。

膨れている塗膜は撤去する。

浮いている旧塗膜もできるだけ撤去する。

脆弱な部分を確認する。

カビや藻が発生していれば処理する。

エフロレッセンスが発生していれば、その原因や下地状態を確認する。

ひび割れや欠損があれば補修する。

そして、

水分がどこから来ているのかをできる限り確認する。

下地を十分に乾燥させることも重要です。

どれだけ高性能な塗料を使っても、水分の侵入原因をそのままにして塗装すれば、塗膜だけですべてを解決することはできません。

エスケー化研も、塗膜に通気性・透湿性があることで内部に水蒸気がたまりにくくなり、膨れ防止につながると説明しています。

逆に言えば、

塗料だけでなく、下地と水分まで含めて考える必要がある

ということです。


本当に難しいのは、一度膨れてしまったブロック塀

ここからは、私たちが実際の現場で特に難しいと感じる部分です。

膨れているブロック塀を調査すると、旧塗膜がすべて同じ状態になっているとは限りません。

ここは大きく膨れている。

その横は簡単に剥がれる。

しかし少し離れたところは、かなり強く密着している。

こうした状態が一枚の塀の中に混在していることがあります。

ここで、目に見えて膨れている部分だけを撤去して補修します。

その部分だけを見れば、きれいに直ります。

でも問題があります。

今くっついている塗膜は、本当にこの先も大丈夫なのでしょうか?

これは誰にも断言できません。


「今くっついている=問題がない」とは限らない

例えば、もともと水蒸気を逃がしにくい旧塗膜がブロック塀全面に施工されていたとします。

そのうち30%が膨れたので撤去した。

残り70%は現在しっかり密着している。

その上から透湿性の高い塗料を塗ったとしても、

残っている旧塗膜はそのままです。

新しく塗った塗料には透湿性があっても、そのさらに下にある旧塗膜が水分を通しにくければ、旧塗膜とブロックとの界面で再び膨れが発生する可能性があります。

塗料販売店の技術FAQでも、通気性の良くない既存塗膜の上から通湿型塗料を施工しても、旧塗膜そのものが膨れるため防止効果は期待できないと説明されています。

ここが、

一度ブロック塀で不具合が起きると改修が難しくなる大きな理由

です。


だったら旧塗膜を全部剥がせばいい?

再発の原因となり得る旧塗膜をできる限りなくすという意味では、

全面剥離して下地から仕様を組み直すのが理想となるケースがあります。

実際に、既存塗膜を全面剥離し、下地補修と乾燥を行ったうえで通気性のある塗装仕様へ変更している施工例もあります。

ところが、

言うのは簡単ですが、現場ではこれが非常に大変です。

膨れているところは簡単に取れる。

その横もポロポロ剥がれる。

ところが別の場所は、

どうやってもなかなか剥がれないほど密着している。

全部を剥がそうとすれば、

施工手間が大きくなる。

費用も上がる。

剥離方法によってはブロックや下地を傷める。

剥離後の不陸調整や補修も増える。

数メートルのブロック塀を直すために、かなり大掛かりな工事になる場合があります。

そして現実には、

そこまで費用を掛けて全面剥離するのか?

という問題も出てきます。


だから「膨れているところだけ直す」という選択もある

現場条件や予算によっては、

膨れている部分。

浮いている部分。

脆弱になっている旧塗膜。

これらをできる限り撤去して補修し、そのうえで再塗装する場合もあります。

これは現実的な改修方法の一つです。

しかし、この場合には施工前に理解しておかなければならないことがあります。

残した旧塗膜が、将来別の場所で膨れる可能性までゼロになったわけではありません。

今回直した場所とは全然違うところが、数年後に膨れることも考えられます。

それは新しく施工した塗料が悪いとは限りません。

さらに下に残っている古い塗膜が剥離している可能性もあるからです。

ここは、施工する側がきちんと説明する必要がある部分だと思います。


「透湿性塗料なら絶対安心」でもない

もう一つ注意したいのが、

透湿性という言葉だけで塗料を選ばないことです。

スズカファインはブロック塀について、透湿タイプの単層弾性塗材であっても適さないとしています。

つまり、

「透湿性と書いてあるから大丈夫」

とは限りません。

ブロック塀にどれだけ水分が入るのか。

背面はどうなっているのか。

土に接しているのか。

笠木はあるのか。

旧塗膜は何なのか。

どこまで下地処理できるのか。

こうした条件によって判断は変わります。

だから、

専用塗料なら絶対に膨れない。

艶消しなら絶対に膨れない。

透湿性があれば絶対に膨れない。

どれも少し違います。

塗料は重要です。

でも、

塗料だけでは決められない場所がブロック塀なのです。


松下塗料研究会の考察

今回改めて複数メーカーの考え方を調べると、ブロック塀という場所の難しさがよく分かります。

メーカーによって、

透湿性のある塗材を推奨する。

通気型塗膜を形成する専用塗料を設計する。

そもそもブロック塀への塗装自体を慎重に考える。

など、考え方が違います。

これは、

「どのメーカーが正しいか」

という話ではないと思います。

それだけブロック塀の水分条件が難しいということです。

そして材料屋として特に伝えたいのは、

最初の塗装が、その後の改修にも影響する

ということです。

何も考えず外壁と同じ仕様で塗装する。

数年後に膨れる。

膨れたところだけ剥がす。

塗り直す。

今度は別の場所が膨れる。

こうなると、そのたびに補修を繰り返すことになってしまいます。

最初から、

「この塀は水がどこから入るのか?」

「どうやって水蒸気を逃がすのか?」

「この塗料を塗った後、次の改修はどうなるのか?」

まで考えて仕様を決める。

小さなブロック塀だからこそ、そこまで考える価値があると思います。


まとめ

ブロック塀に塗装すると膨れることがある大きな理由の一つは、

ブロック内部に入った水分と塗膜との関係

です。

そのため、

「外壁と一緒だから同じ塗料で塗っておこう」

と単純に決めるのではなく、

水分の入り方。

下地の状態。

旧塗膜。

透湿性。

塗料の適性。

そして施工方法。

これらを確認して仕様を考える必要があります。

場合によっては通常の外壁用塗料を使い、3分艶や艶消しなどで仕上げることもあります。

専用の通気型・透湿型塗料を選択することもあります。

逆に、条件によっては塗装そのものをおすすめしないというメーカーの考え方もあります。

そして、すでに膨れている場合にはさらに慎重な判断が必要です。

再発リスクをできる限り下げるなら全面剥離が理想となるケースがあります。

しかし、現実には費用や施工性の問題から全面剥離が難しい場合もあります。

その場合には、脆弱な旧塗膜をできる限り撤去して補修し、

残した旧塗膜から将来別の膨れが発生する可能性も含めて判断する必要があります。

ブロック塀は面積が小さいので、簡単な塗装と思われがちです。

でも実際には、

外壁以上に「何を塗るか」より「何に塗るか」を見る必要がある場所なのかもしれません。

コメント


bottom of page