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【#松下塗料研究会】無機系樹脂とは?現場でよく使われる5タイプを徹底解説

外壁塗装の分野で近年注目を集めているのが「無機塗料」。しかし、実際に“無機100%”の塗料はほとんど存在せず、一般的には無機系樹脂を用いた塗料が「無機塗料」と呼ばれています。この記事では、現場で流通している代表的な無機系樹脂のタイプをわかりやすく整理し、さらに水谷ペイント独自の技術「ナノコンポジットエマルション」もご紹介します。



無機系樹脂の代表的な4タイプ

1. シリコン増量タイプ

· 概要:アクリルシリコン樹脂をベースに、シリコン成分の配合比率を増やしたもの。

· 特徴:無機的なSi–O結合が増えることで紫外線や熱に強くなり、従来のシリコン塗料より高耐候に。

· 代表例:ジャパンカーボライン「スーパームキコート」、関西ペイント「アレスダイナミックMUKI」など。

· 位置づけ:フッ素を超える高耐久グレードとして提案されることも多く、長期メンテナンスを重視する現場で採用が増加中。



2. セラミック配合タイプ

· 概要:アクリル、シリコン、フッ素などの有機樹脂にセラミック微粒子を配合したもの。

· 特徴:親水性によるセルフクリーニング効果や耐汚染性、遮熱性を付与できる。

· 代表例:日進産業「ガイナ」、エスケー化研「水性セラミシリコン」、日本ペイント「ファイン4Fセラミック」など。

· 位置づけ:ベース樹脂の耐久性に依存するため、「無機成分=高耐久」とは限らない。防汚や断熱といった機能性強化型として提案されるケースが多い。



3. オルガノポリシロキサン添加タイプ

· 概要:有機樹脂に無機骨格(Si–O–Si)を持つオルガノポリシロキサンを添加したもの。

· 特徴:塗膜がガラスに近い三次元網目構造を形成し、紫外線や酸性雨に強く、美観を長期間維持できる。

· 代表例:KFケミカル「セミフロンスーパーシリーズ」、関西ペイント「アレスダイナミックMUKI」など。

· 位置づけ:30年耐久を目指す“次世代無機塗料”として、メーカー各社が最上位グレードに位置づけている。



4. 水ガラスタイプ(シリケート系)

· 概要:ケイ酸カリウムやケイ酸ナトリウム(=水ガラス)を結合材に使用。

· 特徴:基材と化学反応し、石質と一体化したガラス質の塗膜を形成。極めて高い耐候性と不燃性を持つ。

· 代表例:ドイツ・KEIM社「シリケート塗料」、BEECK社「グローバソル」など。

· 位置づけ:本格的な“純無機塗料”。ただし基材が限定され(鉱物質下地向き)、日本の住宅市場ではニッチな位置づけ。欧州では高級外装仕上げ材として評価が高い。



5. 水谷ペイント「ナノコンポジットエマルション」

· 概要:水谷ペイントが独自開発した有機・無機ハイブリッド樹脂。ナノサイズのシリカ粒子をアクリルシリコンで被覆した乳剤を使用。

· 特徴:無機質性と有機の柔軟性を兼備し、セルフクリーニング機能やフッ素並みの高耐候性を実現。環境負荷低減にも貢献。

· 代表例:「ナノコンポジットW」シリーズ(外壁用)、屋根用の「ナノコンポジットF」など。

· 位置づけ:従来の4タイプに属さない新世代の無機系塗料。省エネ・SDGs対応型の次世代エコ塗料として公共施設などでも採用が進んでいる。



まとめ

「無機塗料」とひとくくりにしても、実際には複数のタイプが存在し、それぞれにメリット・デメリットがあります。無機成分が多ければ良いという単純な話ではなく、現場環境に合わせて適切なタイプを選ぶことが重要です。さらに水谷ペイントのナノコンポジットのように、新しい技術も続々登場しています。塗料販売・施工の現場では、最新の技術情報を正しく理解し、お客様に最適な選択肢を提案できることが信頼につながります。

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